気がついたというんなら、やはり昨日のことを気にしてるんじゃないか。君にも似合わないね。」
「いえ、ちがいます。こうですよ。僕は上山さんが好きでした。鳶を捕ろうとしていたのも、上山さんが鳶を飼ってみたいと云ったからです。先生の邪魔になると思ったが、上山さんを誘ってよく来ましたのも、上山さんと一緒にいたかったからです。御免下さい。」
「そんなの、一種の愛情じゃないか。」
「いえ、ちがいます。あの人、頭がよいでしょう。それにごまかされたんですね。一緒に遊ぶのが嬉しかったんです。ところが、あの人は、実は、頭がよいどころか、下等ですね。昨日、あの時、じっと僕の様子ばかり見ていました。先生は呑気だから気付かれなかったでしょうが、僕をじっと窺っていました。その視線を、僕は全身に感じました。ひがみではありません。あの人から見れば、朝鮮人はみな同じものだということになるようです。卑怯とかなにか、そういう言葉のことではありません。人間がみな同じになるらしいです。例えば日本人の乞食を見て、日本人はよその残り物を平気で食べるのかと、あらゆる日本人に云ったとします。腹が立つよりも、そんなことを云う人……そんな風
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