連って、霜とも露とも知れないものに光っていた。と、彼は俄に首を伸して見つめた。彼方の大きな藁ぼっちの、月の光りを受けない影の所に、二人の人影がくっついて蹲っていた。彼はなお瞳を凝らした。それから、歯をむき出してにっと微笑んだ。然しその狂気じみた笑顔が静まりかけると、俄に恐ろしい形相に変った。歯をくいしばってぶるっと震えた。
彼ははっと身を引いて、それから帯をしめ直した。表の戸からぬけ出した。
先刻の藁ぼっちへ見当をつけて置いて、遠廻りに忍び寄って行った。身を隠す影がない所は、田の畦の横を犬のように四つ匐いになった。霜柱がざくりざくりと砕けた。
東の空に昇った円い月の光りが、一面に漲り落ちていた。その光りを受けてる方面へ、彼は藁ぼっちに匐い寄った。息をつめて耳を澄すと、囁き声と忍び笑いの声とが、先夜の通りだった。彼は眼を輝かしながら、口をあんぐり開いて、そっと覗いてみた。一つになって屈み込んでる男女の姿がちらと見えた。瞬間に「あれえ」けたたましい女の声がした。
彼は喫驚してつっ立った。すぐ眼の前に、つる[#「つる」に傍点]と平吉とが月の光りを正面に浴びて立っていた。彼は驚きと恐れ
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