れて、贅肉の多い頬をもぐもぐさせながら呟きました。
「そんなこと……いいんですよ。いったい、どうしたというんですか……。困りますねえ……。どうせ、酔っ払った者が壊しますよ。まったく困りますよ。」
「いいえ、責任を果させて頂きます。」
「責任……何の責任ですか。」
「弁償致さなければ、責任が果せません。」
彼女の調子には抗弁し難いものがありました。それでも、それは理解しにくい変梃な事柄でした。更に言えば、不愉快な色合のものでもありました。ちょっとの間、誰もみな口を噤んでしまいました。とはいえ、これをはっきり見聞きしたのは、尾高の近くにいた者だけで、遠くの者はただなにか変梃な冷りとする気配を感じただけでした。
丁度、その場の空気を救うかのように、どんぶりの御飯が出て来ました。
木原宇一は、尾高のところへ行って言いました。
「三浦先生が至急私に逢いたいということですが、なにか外に、社の用はありませんか。」
「ああ三浦さんか。」尾高は卓上の紙幣から解放されたように眉根を開きました。「いずれまた連絡するが、宜しく言っといてくれたまい。」
木原は周囲の人々の思惑に顧慮することなく、ただ自分
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