と光り、近眼鏡の奥に眼眸が静かな光りを湛え、それら二つの光りが彼女を清純なものに見せました。
その時、どうしてだかよく分りませんが、或は、踊っている一組の者が近づいて来たのをよけようとしてか、或は、ちょっといたずらな身振りをするつもりでか、山崎は少しく照子に近寄りすぎたようでした。照子は立ち上りました。山崎はあわてて後退するはずみに、そばの卓子にぶっつかりました。卓上で、まだ半分ばかり残ってるウイスキーの瓶が倒れかかり、それへ照子は手を伸しましたが、瓶はすべって床に転がり落ち、音を立てて砕けました。
床に流れたウイスキーを、山崎は、手でしゃくって飲むまねをしました。
「おい誰か、ワンワンと吠えてみないか。そしたら僕が、犬のまねをしてこの酒をなめてみせる。」
「御婦人連にその合唱を頼もう。」と誰かが言いました。
笑い声が起りました。
ところが、一陣の冷りとした気配が流れました。――照子は黒革のハンドバックを取って、編輯局長といういかめしい肩書のある尾高の方へ、真直にやって行きました。
「粗相をしました。弁償致します。」
百円札を五枚、彼女は卓上に置きました。
尾高は呆気にとら
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