ど、たしかにいたというのです。一メートルもあろうか、びっくりするほどの大きななまずで、それが、ぴかぴか光る金色の髭をはやして、ゆったりと泳いでいたそうです。
何かの影だったんだろう、と私はかんたんにかたずけて、気にしないつもりでしたが、それでもやはり、忘れかねていたようです……。ある日、私もそのなまずをはっきり見ました。
なまずというものは、おかしな魚ですね。頭がばかに大きくて、その大きな頭いっぱいに、大きな口がついていて、こまかいきれいな歯をくいしばって力《りき》んでいて、上唇《うわくちびる》に長い二本の髭《ひげ》をはやし、下唇に二本の短い髭をはやし、そのくせ、ごく小さなかわいい目でいつも笑っており、頭から尾へすーっとほそくなっています。そのなまずが、まったく、一メートルほどもある大きさで、おどろいたことには、ぴかぴか光る金のながい髭をうちふり、小さな目を光らし、いばりくさって悠然《ゆうぜん》と泳いでいったのです……。
それを、私も正夫も二人とも見たのです。
「いたでしょう」
「うむ、ほんとにいたよ」
けれども、金色の髭をはやしたなまず……そんなものは、まだきいたこともありま
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