小さな魚がおよいでいました。そして少しかみてが、滝とも瀬《せ》ともつかない急な流れでゆきどまりとなり、その下に、大人の胸ほどの深さのひろい淵《ふち》をこさえていました。
 私と正夫とは、よくその川へあそびに行きました。
 泳げるほどの大きな川ではないかわりに、水が清くつめたくて、飲んでもよさそうに思えるほどでした。浅い瀬にはいって、美しい小石をひろったり、水草の間の小魚をつかまえたり、岸にねころんで釣りをしたりしてると、いつまでもあきませんでした。
 かみての急流《きゅうりゅう》のところ、それを村の人たちは滝といって、滝の下の淵をきれいなものとして、よこてに小さな石のほこらなどがまつってありました。そこへ、私たちは朝おきるとすぐ、顔を洗いに行くこともありました。
 ある朝、そこで顔をあらっておりますと、正夫が、あれッと叫んで、水にぬれた顔のまま、目をまんまるくうちひらいて、淵のなかを見つめました。
「なんだい」と私はたずねました。
「なまず……とても大きななまずが……金色の髭《ひげ》をはやして……」
 のぞいてみましたが、私には見えませんでした。もう岩にかくれたと正夫はいいました。けれ
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