てきて、私にすがりつき、赤ん坊にすがりつきました。
「まあ、よかった。ここにいたのね……無事でいたのね……よかったわねえ……お母さんは、あなたがとんびにさらわれたと思って……さらわれたんだったら、どうしよう……まあ、よかったわね……」
むちゅうになって、赤ん坊をだきしめて、さめざめと泣いてるんです。
私はこまって、ぼんやり立っていました。
村人たちがあつまってきました。
「赤ん坊がさらわれたのではなくて、よかったよ。だが、あれは何だろう」
とんびはなにか赤いものを両足にひきつかんで、その両足をちぢめて腹にくっつけ、大きく羽をひろげて、羽ばたきひとつせず、ふうわりと宙にうかび、さもうれしそうになきながら、舞いとんでいます。日の光をいっぱいふくんだ青い空のまんなかに、その姿がつややかに光っています。
村人たちは赤ん坊のいる家の名をあげたりして、心配そうにながめていました。
「あ、そうだ」
柿《かき》のことがはっと頭にうかんで、私はかけだそうとしました。その私の肩を、誰かがとらえてゆすぶりました……。
正夫が私をゆすぶってるのでした。
「本をよんで下さらないから、僕うとうとしち
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