すけれど……」
赤ん坊なんかだいているへんな巡礼でしたけれど、その赤ん坊の着物が柿の色と同じようなので、私はなんだか泊めてやりたい気がしました。
正夫も同じ気持ちだったのでしょう。小父《おじ》さんをさがしに家のなかにかけていって、まもなく戻ってきました。
「泊ってもいいんだって……」
巡礼の女は、うれしそうにおじぎをしました。
「それでは、夕方まいりますから……」
そして出ていきました。
私と正夫は目を見合わせました。どうもへんな巡礼なんです。
「僕が見てきましょう。へんだなあ……」
正夫が巡礼《じゅんれい》のあとをつけていったので、私は一人でぼんやり夢想《むそう》にふけりました。
ながい時間がたったようでした……正夫が戻ってきました。巡礼の赤ん坊をだいてるんです。にこにこ笑っていました。
「おかしな女ですよ。赤ん坊をわらのうえにねかしといて、自分はたんぼのなかにはいりこんで、落穂《おちぼ》をひろいはじめたんです。だんだん向こうへ遠くへいっちゃうんですよ。僕この赤ん坊がかわいそうになったから、だいてきてやりました」
「どれ、かしてごらん」
私はその赤ん坊をだきとりました
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