な珍しいなまずでした。

      三 かき

 家のまえに大きな柿《かき》の木がありました。いっぱいなってるその柿が、秋になると、赤く色づきました。
 私と正夫はそれをたくさんたべました。あそびにくる村の子供たちにもわけてやりました。朝露《あさつゆ》にひえたつめたいのをかじるのが、いちばんおいしくありました。
 そして柿は、まもなくなくなってしまい、ただ一つだけ、たかい梢《こずえ》にのこりました。すっと空たかくつきでた枝の先に、たった一つなっているので、登ることもできず、竿《さお》もとどきませんでしたが、それよりも、そのいちばんたかい一つだけは、ただなんとなく残しておいてやりたかったのです。
 その一つの柿は、まるで柿の木の旗みたいでした。まんまるな大きなもので、朝日や夕日に赤くかがやきました。
 山奥の秋は、早く寒くなります。やがて、柿の葉は黄色くなり、下枝《したえ》の小さな柿や、半分われた柿なども、すっかり熟して、小鳥にたべられてしまい、黄色い葉はだんだんちっていきました。けれど、たかい梢の一つの柿は、もうやわらかく熟しながらも、やはりついていました。
 私はそれが気がかりにな
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