て、他の子供たちも集まって来ました。そして太陽が出たばかりの頃、日に二つか三つずつ影法師を写し取りましたが、日がたつにつれて、塀いっぱいたくさんになってきました。高いのや低いのや、肥《ふと》ったのややせたのが、皆まっすぐを向いてずらりと並びました。墨でまっ黒に塗った影法師《かげぼうし》ですから、太陽がいくら高く昇っても、太陽が沈んで晩になっても、ちょうど人がつっ立ってるように、そこに、白い塀《へい》の上に、つっ立っています。
それを見て、通りがかりの大人《おとな》たちは、「えらいことを始めたな」と言いながら、にこにこ笑っていました。長者のうちのお祖父《じい》さんも出て来て、大きなまんまるい眼鏡《めがね》の下に眼をまんまるくして、「ほほう」と感心したように眺め入りました。
「これが僕んですよ」
「これが僕んですよ」
子供たちはめいめいそう言って、自分の影法師の前に立ってみせました。背の高さから形まで、身体《からだ》どおりの影法師でした。
さて皆の影法師が写し取られて、塀いっぱいに並びますと、これからどうしようかと、子供たちは考えました。写し取っただけではいっこうつまりません。
「影
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