理解されることを、けっして恐るるな。影もなく覆面もなく、明瞭《めいりょう》に確実に、必要によっては重々しく、語れよ。そのためにいっそうしっかりと地面に接してさえおれば、その他はどうでもよろしい。そしてよりよく思想を打ち込むために、同じ語を繰り返すことが有効であるならば、繰り返し、打ち込み、他の語を捜すな。一語たりとも無駄《むだ》になすな。言葉は行動であらんことを!」
これは、現代の美学主義に対抗して、今日でもなお私が主張してる原則である。行動を欲し行動をになってるある種の作品に、私はそれをやはり適用する。しかしあらゆる作品にではない。真に読むことを知ってる者は、ジャン[#「ジャン」に傍点]・クリストフ[#「クリストフ」に傍点]と歓喜せる魂[#「歓喜せる魂」に傍点]との間の、職分や技術や調和や諧調《かいちょう》の本質的な差異を見てとるだろう。リリューリ[#「リリューリ」に傍点]やコラ[#「コラ」に傍点]・ブルーニョン[#「ブルーニョン」に傍点]のように、律動や音色や和音のまったく別な演技と結合とを要求する実質をもってる作品については、言うまでもないことである。
それになお、ジャン[#
前へ
次へ
全23ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング