率な反僧侶《はんそうりょ》主義をいだいていて、そのために、宗教を――ことにカトリック教を――蒙昧《もうまい》主義とみなし、牧師を明知の生来の敵と考えていた。社会主義、個人主義、過激主義などが、頭の中でぶつかり合っていた。精神上では人道主義者であり、気質の上では専制主義者であり、行為の上では無政府主義者であった。傲慢《ごうまん》ではあったが、教育の不足をみずから知っていて、会話においてたいへん用心深かった。人の言うことをすべて利用していたが、助言を求めようとはしなかった。助言を求めるのを恥辱としていた。ところが、彼の知力や才気がいかにすぐれていようとも、それだけで教育の不足をすっかり補うことはできなかった。彼は前から物を書こうと志していた。フランスには学問がなくて文章の巧みな者が多いとおり、彼もやはり文才があって、それをよく自覚していた。しかし思索のまとまりがなかった。苦心|惨澹《さんたん》の文を数ページ、信用してる豪《えら》い新聞記者に見せたところが、嘲笑《ちょうしょう》されてしまった。深く屈辱を感じて、それ以来は、自分のしてることをもうだれにも語らなかった。しかしなおつづけて書いてい
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