なわれてるカトリック教改新の盛大な運動、理性と自由と生命とを取り入れんためになされてる、フランスにおけるキリスト教的思想の熱烈な努力、それをオリヴィエはクリストフに示してやった。りっぱな牧師たちがいて、その一人が言ったように、「人間たるべき洗礼を受ける」だけの勇気をもっていて、すべてを理解しあらゆる誠実な思想をいだくだけの権利をカトリック教のために要求していた。なぜなら、「あらゆる誠実な思想は、たといそれが間違うことはあっても、常に神聖で崇高である」からだった。また数千の若いカトリック教徒らがいて、善良な意志をもってる者にはだれにでもうち開かれてる、自由な純粋な博愛なキリスト教の共和国をうち建てんとの、勇ましい願望をいだいていた。そして、忌まわしい攻撃や、邪教だとの誹謗《ひぼう》や、右翼左翼両派の――(ことに右翼の)――不実な裏切りなどを、それらの偉大なキリスト教徒らはたえず受けるにもかかわらず、近代主義の小団をなしてる人々は、永続的なものを築くには涙と血とで固むるのほかはないと知って、苦難を忍従し晴れやかな額《ひたい》をし、未来に通ずる嶮峻《けんしゅん》なる隘路《あいろ》を進んで行き
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