\クリストフは、自分の昔の譜作を、そしてことにイフィゲニア[#「イフィゲニア」に傍点]を、いくら軽蔑《けいべつ》してみても駄目《だめ》だった。先年あれほど彼に屈辱を与えたその惨《みじ》めな作イフィゲニア[#「イフィゲニア」に傍点]が、ドイツの批評家らから賞賛され劇場から求められてるのを見るのは、彼にとってはやはり一つの腹癒《はらい》せだった。ちょうど今もドレスデンから手紙が来て、つぎの季節にその作の上演を許してもらえれば幸いだと……彼へ言ってきた。

 多年の艱難《かんなん》の後ついに、より平安な前途と遠くに勝利とを瞥見《べっけん》させる右の報知が、クリストフのもとへ届いた同じ日に、他の一通の手紙が、また彼のもとへ到着した。
 それは午後のことだった。隣室のオリヴィエへ快活に話しかけながら、顔を洗ってるところへ、門番の女が一対の手紙を扉《とびら》の下から差し入れていった。母の筆跡……ちょうど彼も母へ手紙を書くつもりだった。自分の成功を知らせるのがうれしかった……。彼は手紙を開いた。わずか数行だった。ひどく震えた筆跡だった……。

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 いとしき子よ、私は身体があまり
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