Aワグナーやフランクも昔はひどくけなされたものであるが、今日では新しい芸術家らを排斥するために賞賛されており、その新しい芸術家らとて、明日は賞賛されるようになるだろう。
 クリストフはこういう成功をほとんど予期していなかった。いつかは勝利を得ると知ってはいたけれど、それがこんなに早かろうとは思っていなかった。そしてあまりに急な成果を信じかねた。彼は肩をそびやかして、構わないでおいてくれと言っていた。前年ダヴィデ[#「ダヴィデ」に傍点]を書いた当時に喝采《かっさい》されたのなら、訳がわかっていた。しかし今ではもうそれから遠くに来ていて、幾段もの進歩をしてるのだった。昔の作品のことを喋々《ちょうちょう》してくれる人々に、彼は好んでこう言いたかった。
「そんなつまらないもののことは構わないでくれ。僕はその作がいやだ。君たちも嫌《いや》だ。」
 そして彼は、気持を乱されたことを多少いらだちながら、新しい仕事に没頭した。それでもひそかな満足を覚えていた。光栄の最初の光はきわめて楽しいものである。打ち克《か》つのは愉快な健全なものである。それは、開けゆく窓であり、家の中に入り来る初春の気である。―
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