「たけれど、それでもなお、熱情の突風が心中に起こるのを感じた。その突風からどの方面へ吹きやられるか自分でもわからなかった。彼はそのことをオリヴィエに言いはしなかった。しかし諸種の報道に気を配りながら苦悩のうちに日々を過ごした。ひそかに仕事を取りまとめ行李《こうり》を整えていた。もう理屈を言わなかった。今は彼の力に及ばないことだった。オリヴィエは友の心中の戦いを察して、不安の念でその様子をうかがっていた。あえて尋ねかねていた。二人は平素よりなおいっそう親しくなりたかったし、今までより以上に愛し合っていた。しかし話をし合うことが恐れられた。二人を引き離すような思想の違いを見出しはすまいかと、びくびくしていた。しばしば二人は視線を合わしては、やがて永久に別れんとする者のように、気づかいな情愛を浮かべながら見合わした。そして胸迫る思いで口をつぐんでいた。
それでも、中庭の向こうに建てられてる家の屋根の上では、この悲しむべき日々の間、驟雨《しゅうう》の下で、職人どもが最後の金槌《かなづち》を打ち納めていた。クリストフと知り合いの饒舌《じょうぜつ》な屋根職人は、遠くから笑いながら彼に叫んでいた
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