ヘ尋ねた。「相変わらず広場の市《いち》の馬鹿者どもを相手にしてるのか。」
「いや、誠実な人たちに言ってるんだ。悪者どもがのさばって、嘘《うそ》をつき奪い盗み人殺しをしている。しかしその他の者を――彼らを蔑視《べっし》しながら勝手なことをさせてる人たちを、僕ははるかに多く軽蔑する。新聞雑誌の仲間たちが、誠実な教養ある批評家たちが、無定見なアールカンどもにわいわい言われてる芸術家たちが、臆病《おくびょう》から、災いをこうむる恐れから、あるいは、相互に容赦するという恥ずべき打算から、敵の打撃を免れるために敵と結んだ一種の密約から、奴《やつ》らをなすままに任して黙っていることがなかったならば――もし彼らがその庇護《ひご》と友情とを奴らに利用されるままに任せることがなかったならば、奴らの厚顔な威勢は単なる物笑いとなってしまうだろう。あらゆる方面に同様な気弱さがある。僕が出会った多くの善良な人々は、ある男について『彼奴《あいつ》は馬鹿者だ』と僕に言ってきかせながら、その男を『親しい仲間』と呼びかけて握手しないような者は、一人もなかった。――『あんな人間が多すぎる』と彼らは言っている。――がまったく
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