スが、それと闘《たたか》うことは無益だと前もって考えていて、なるべく闘いをしないように用心していた。たとえば芸術家らは、ことにクリストフがよく知ってる音楽家らは、彼らに勝手なことをする新聞雑誌のスカラムーシュどもの厚顔を、なぜ反抗もしないで堪え忍んでいたのか。多くの愚人どもがいて、およそ人の知り得るあらゆる事に[#「およそ人の知り得るあらゆる事に」に傍点]無知であるのが知れ渡っていながら、それでもやはり、およそ人の知り得るあらゆる事に[#「およそ人の知り得るあらゆる事に」に傍点]主権的な力を与えられていた。彼らは自分の論説や書物を書くだけの労さえ取らなかった。彼らには秘書どもがついていた。もし魂をもってたとしたら、パンや女のためにその魂をも売りかねない、憐《あわ》れむべき飢えた乞食《こじき》どもがついていた。それはパリーでは、だれ知らぬ者のない事柄だった。それでも彼らはなお羽振りをきかせ、芸術家たちを上から見下していた。彼らの記事のあるものを読んだとき、クリストフは憤激の叫びを発した。
「おう、卑怯者《ひきょうもの》が!」と彼は言った。
「君はだれにたいし言ってるんだい。」とオリヴィエ
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