B
「あなたは自分で自分に話をしてるんですか。そんなら私にも聞かしてください。」
彼女は彼があまりに好奇《ものずき》だと言った。そしてただ、自分がその話の女主人公ではないということだけを打ち明けた。
彼はそれに驚いた。
「自分でみずからいろんな話をするくらいなら、美化した自分自身の話をして、現実以上の幸福な生活をしてるように夢想するほうが、より自然のことのように思えますが。」
「私にはそんなことはできません。」と彼女は言った。「そんなことをしたら絶望に沈むかもしれません。」
彼女は人に隠してる自分の魂を多少うち明けたので、また顔を赤めた。そして言った。
「それに、庭にいて風にさっと吹かれますと、ほんとにいい心地になります。庭は私には生きてるもののように思われます。そして風が荒くて遠くから吹いて来ますときには、いろんなことを私に語ってくれます。」
クリストフは、彼女が控え目な口をきいてるにもかかわらず、彼女の快活さと活発さとの下に隠されてる、底深い憂鬱《ゆううつ》を見てとった。その活発さも彼女を欺くことはできなかったし、なんの結果をももたらしてはいなかった。彼女はなぜ自分を解放し
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