{的な戦闘用具さえも十分になく、怖気《おじけ》ついてる世論と政府との意に反してたえず戦い、フランスの意向に構わず、フランスのために、フランス自身よりもさらに大きな帝国を征服してるのであった。力強い喜びと血潮との匂《にお》いがその戦いから立ちのぼっていた。クリストフの眼には近世の傭兵《ようへい》の面影が、勇壮な冒険者の面影が、そこから浮かび上がってきた。それは現今のフランスには思いがけないものであり、現今のフランスが容認するのを恥じてるものであり、慎み深くその上に帷《とばり》を投げかけてるものである。しかるに少佐の声は、それらの思い出を呼び起こしながら、快活に鳴り響いていた。そして彼は元気な朴訥《ぼくとつ》さをもって、また地勢についての賢明な叙述――(その叙事詩的な物語の中に変梃《へんてこ》に插入《そうにゅう》される)――をもって、広範囲にわたる追跡のことや、その無慈悲な戦いにおいて彼が猟師となったり獲物となったりした、人間の狩猟のことなどを、物語っていった。――クリストフは彼の話に耳を傾け、彼の顔をながめ、そして、そのりっぱな人間獣が無為閑散を余儀なくされ、滑稽《こっけい》な遊びのうち
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