tはただみずから尋ねた、「人間はどこにいるのか? 人間を生きさせるものはどこにあるのか?」なぜなら彼は、「生のあるところに神がある、」と信じていたから。――そしてまたそれゆえに、彼はクリストフにたいして同感をもっていた。
 クリストフのほうでも宗教的な偉大な魂の美《うる》わしい音楽をふたたび聞くのはうれしかった。それは彼のうちに遠い深い反響を呼び起こした。不断の反動的な感情――強健な性質の人にあっては、生の一本能であり、自己保存の本能であり、危《あぶな》い場合に平衡を立て直して船を新たに躍進せしむる櫂《かい》の一撃であるところの、不断の反動的な感情――それによって、クリストフの心の中には、パリーの極端な疑惑と忌まわしい快楽主義とに接して、二年以前から、少しずつ神がよみがえってきつつあった。と言って彼は神を信じてるのではなかった。神を否定していた。しかし神に満たされていた。彼はその守護神たる善良な巨人のように、みずから知らないで神をになってるのだと、コルネイユ師は微笑《ほほえ》みながら言った。
「ではなぜ僕には神が見えないのでしょう?」とクリストフは尋ねた。
「あなたも他の多くの人たちと
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