汲ニ、スイスのある大学の私任教授でドイツ人であるバールト博士とだった。彼はこのバールトに、ある晩|麦酒店《ビヤホール》で出会ってそれから知り合いになったのだった。彼は相手にたいしてあまり同情はいだかなかったが、しかし二人いっしょになって故国のことを話すことができるのだった。リュシアン・レヴィー・クールの介添人らと相談のうえ、武器はピストルにきめられた。クリストフはいかなる武器の使い方も知らなかった。それでグージャールは、いっしょに射撃場へ行って少しは稽古《けいこ》しとくのも悪くなかろうと言った。がクリストフは断わった。そして翌日を待ちながら、仕事にかかった。
 しかし彼の精神はよそにあった。悪夢の中でのように、漠然《ばくぜん》としたしかも固定してるある観念の唸《うな》り声が耳に響いていた……。「不愉快なことだ、そうだ、不愉快なことだ……どうしたというのだ? ああ、明日がその決闘……冗談だ!……けっしてあたるものか……だがあたるかもしれない……あたったら? あたる、そう、あたったら?……彼奴《あいつ》の指がちょっとしまると、それで俺《おれ》の生命がなくなる……すると……そうだ、明日は、今
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