ト、ルーサンの白シャツの大きな胸部を眼の前にし、その光ったボタンを数えていた。そしてそのでっぷりした男の息を顔の上に感じていた。
「ええ、君、ええ、どうしたんだ?」とルーサンは言っていた。「なんとしたことだ? 反省してみたまえ。ここをどこだと思う? おい、気でも狂ったのか。」
「あなたの家へなんか、もう二度と足踏みはしない!」とクリストフは言いながら、向こうの両手を振り払った。そして扉へ進んでいった。
人々は用心して道を開いていた。着物置場で、一人の召使が彼に盆を差し出した。その上にはリュシアン・レヴィー・クールの名刺がのっていた。彼は訳がわからずにそれを取り上げて声高に読んだ。それからいきなり、激怒の息を吐きながらポケットの中を探った。五つ六ついろんな物を取り出したあとで、三、四枚の皺《しわ》くちゃな汚《きたな》い名刺を引き出した。
「そら、そら!」と言いながら彼は、それらの名刺を盆の上に激しくたたきつけたので、一枚は下にはね落ちてしまった。
彼は出て行った。
オリヴィエは何にも知らないでいた。クリストフは介添人として、手当たり次第に選んだ。音楽批評家のテオフィル・グージャー
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