ナたたきながら叫んだ。
 人々は呆気《あっけ》に取られて振り向いた。リュシアン・レヴィー・クールはクリストフの眼つきに出会い、軽く蒼《あお》ざめて言った。
「君は僕に向かって言ってるのか。」
「君にだ、恥知らずめ!」とクリストフは言った。
 彼はむっくと立ち上がった。
「世の中のりっぱなものを、君はなんでも汚そうとするんだな。」と彼は猛然と言いつづけた。「出て行け、馬鹿野郎、窓から放り出すぞ!」
 彼は進み寄っていった。婦人たちはちょっと声をたてて遠のいた。少し騒ぎとなった。クリストフはすぐ人に取り巻かれた。リュシアン・レヴィー・クールは半ば腰を浮かしていた。それからまた肱掛椅子《ひじかけいす》に事もなげにすわった。通りかかりの召使を小声に呼んで、一枚の名刺を渡した。そして、何事も起こらなかったかのように話をつづけた。しかしその眼瞼《まぶた》は神経質にまたたき、ちらちら横目で見やって、人々の様子をうかがっていた。ルーサンはクリストフの前に立ちふさがっていたが、その上衣の襟《えり》をとらえて、彼を扉《とびら》のほうへ連れて行った。クリストフは憤怒《ふんぬ》と恥とでいっぱいになり、頭をたれ
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