V将軍がすわっていた。なんとかお世辞を言わなければならないと思ってか、彼の楽曲の独創的なことをほめた。クリストフは不快を感じてただ辞儀をし、訳のわからない言葉をつぶやいた。将軍は無意味なやさしい微笑を浮かべながら、極端に丁寧な調子で話しつづけた。そして、あんなに長い音楽をどうしてそらでひけるか、それを説明してもらいたがった。クリストフはその好々爺《こうこうや》を長|椅子《いす》からなぐり落としてやろうかとも考えた。彼はリュシアン・レヴィー・クールがなんと言ってるか聞きたがっていた。攻撃の口実をねらいすましていた。少し前から、自分が何か馬鹿げたことをしでかしそうな気持になっていた。どうしても馬鹿げたことをするに違いない気がした。――リュシアン・レヴィー・クールは、一団の婦人達を相手に、例のわざとらしい声で、大芸術家らの意図やその内心の思想などを、説明してきかしていた。ちょっとあたりがひっそりとなった合い間にクリストフは、彼がワグナーとルードウィッヒ王との友情について、言葉の裏に醜関係をにおわせながら話してるのを、それと聞き取った。
「もうたくさんだ!」と彼はそばのテーブルを拳固《げんこ》
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