繧ノ、始末に終えないキリスト教的観念ときてる……。教理問答だけになってるフランスの宗教教育、去勢された福音書、無味乾操な骨抜きの新約書……いつも眼に涙を浮かべてる人気取りの人道主義……。だが、大革命、ジャン・ジャック・ルソー、ロベスピエール、一八四八年、おまけにユダヤ人ども、などを見たまえ。血のたれてる旧約書の一部でも、毎朝読んでみるがいい。」
オリヴィエは抗弁した。彼は旧約書にたいして生来の反感をもっていた。その感情は、絵入聖書をひそかにひらいてみた子供のときからのものだった。その聖書は田舎《いなか》の家の書庫にあったもので、だれも読んだ者がなかった。――(子供には読むことが禁じられてさえいた。)――が禁ずるにも及ばなかった。オリヴィエは長くその書物を手にしてはいられなかった。彼はいらだち悲しくなって、すぐにそれを閉じてしまった。そのあとで、イーリアス[#「イーリアス」に傍点]やオデュッセイア[#「オデュッセイア」に傍点]やまたは千一夜物語[#「千一夜物語」に傍点]などに読みふけって、ようやく安心するのだった。
「イリヤード[#「イリヤード」に傍点]の中の神々は美しい力強い不徳な人
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