原稿の一つが掘り出されて読まれた。そして多くの躊躇《ちゅうちょ》の後に――(なぜなら、その作はある価値をもってるらしかったが、作者の名前は世に知られていないのでなんらの価値ももっていなかった)――ついに採用されることとなった。オリヴィエはその吉報を聞くと、もうこれで心配は終わったと思った。しかしそれは心配の始まりだった。
パリーでは、作品を受諾してもらうことは比較的たやすい。しかし作品を発表してもらうことは別事である。編集者らを機嫌《きげん》取ったりうるさがらせたり、それら小さな君王らの前にときどき伺候したり、自分が存在してることや必要なときにはいつでも困らしてやる決心でいることを彼らに思い出さしたりする、という才能を知らないときには、幾月も、場合によっては一生でも、待ちに待たなければならない。ところがオリヴィエは自分の家に閉じこもってることしか知らなかった。そして待ちくたびれてしまった。たかだか手紙を書くくらいなものだったが、それにはなんの返事も来なかった。いらいらしてもう仕事も手につかなかった。それは馬鹿げたことではあったが、理屈ではどうにもならなかった。彼はテーブルの前にすわり
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