かしら。」
「ええ。これがその手紙よ。自分で来たがってたけれど、やっぱりつかまったの。」
「ではどうしてお前は来られたんだい。」
「こうよ。ロールヘンは憲兵に見つからないで、村に帰ってきて、それからまた出かけようとしたの。けれどゲルトルーデの妹のイルミナが、訴えたもんだから、捕《と》り手が来たのよ。憲兵たちが来るのを見ると、自分の室に上がっていって、すぐに降りてゆく、今着物を着てるから、と言いたてたの。私は裏の葡萄《ぶどう》畑にいたのよ。ロールヘンは窓から、リディア、リディア、って私を小声で呼ぶの。行ってみると、あなたのお母さんからもらってきた鞄《かばん》と手紙を、私に渡して、あなたに会える場所を教えてくれたの。駆けておゆき、つかまらないようにおし、と言われたわ。私は駆け出して、それからここへ来たのよ。」
「それきりなんとも言わなかったの!」
「言ったわ。自分の代わりに来たんだというしるしに、この肩掛も渡してくれって。」
 クリストフは、花の刺繍《ししゅう》と赤い玉のついてるその白い肩掛を見覚えていた。前夜ロールヘンが彼と別れる時、顔を包んでたものだった。彼女がそれを愛の記念に贈るため
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