け寄った。百姓らは兵士らに飛びかかった。全般の争闘となった。コップは方々へ飛び、テーブルはひっくり返った。百姓らは本気になっていった。宿怨《しゅくえん》を晴らそうとしていた。人々は床にころがって、猛然とつかみ合った。ロールヘンを横取られた踊りの相手は、強壮な農家の下男だったが、先刻侮辱を加えた一人の兵士の頭をつかんで、壁に激しくぶっつけていた。ロールヘンは棒を取って、容赦もなく引っぱたいていた。他の娘らは喚《わめ》きながら逃げ出していた。ただ二、三の元気な者たちが、面白がって争闘に加わっていた。その一人の、太った金髪の小娘は、一人の大きな兵士――先刻クリストフのテーブルにすわっていた兵士――が相手を引っくり返して胸を膝《ひざ》でこづいてるのを見て、炉のところへ走って行き、またもどって来て、その暴漢の頭を後ろに引き向け、一つかみの焼き灰を眼に振りかけた。兵士は唸《うな》り声をたてた。娘はその抵抗を失った敵をののしって歓《よろこ》んでいた。彼は今や百姓らから思うままなぐりつけられていた。ついに兵士らは敵しかねて、床の上に三人の仲間を残したまま、戸外へ退却した。争闘は村の往来でつづけられた。
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