《かんしゃく》まぎれに地だんだふんで、最もひどい言葉を見つけては浴びせかけ、彼の顔を家畜場の種々な動物の顔にたとえた。彼はテーブルの向こう側から彼女の方へ乗り出し、薄気味悪い微笑を浮かべ、怒りに眼を輝かしていた。にわかに彼は勢いをこめて、テーブルを飛び越し、彼女をとらえた。彼女はたくましい女としての本性どおりに、なぐりつけ蹴《け》りつけた。彼はしっかり直立していなかったので、身体の平均を失いかけた。そして憤然として彼女を壁に押しつけ、頬《ほお》に平手の一撃を食《くら》わした。さらにも一度打とうとした。その時、だれかが彼の背に飛びかかり、力任せになぐりつけ、一蹴りで酔漢らのまん中に蹴飛ばした。テーブルや人々を押しのけて彼に飛びかかったその男は、クリストフだった。下士は狂気のように怒りたって、剣を抜きながら向き直った。その剣を使う間も与えずにクリストフは、床几《しょうぎ》で彼をなぐり倒した。見物人のうちで仲裁しようと思いつく者もなかったほど、万事が素早く行なわれてしまった。しかし、下士が床の上に牛のように倒れるのが見えると、恐ろしい騒動がもち上がった。他の兵士らは剣を抜いて、クリストフに駆
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