はその従順な態度に多少心が静まって、いっそうの冷静さで観察することができた。兵士らは一人の下士に率いられてることが、容易に見て取られた。きびしい眼をした小さなブルドッグみたいな男で、偽善的な意地悪な奴僕的な顔をしていた。先の日曜日に大|喧嘩《げんか》をした豪傑連の一人だった。彼はクリストフの隣りのテーブルにすわり、もう酔っ払いながら、人々の顔をじろじろながめては、ひどい毒舌を投げつけていた。人々は聞こえないふうをしていた。彼はことに、踊ってる男女に鉾先《ほこさき》を向けて、その身体の美点や欠点を、破廉恥な言葉で述べたてた。連中はそれでどっと笑った。娘らは真赤《まっか》になって、眼に涙を浮かべていた。青年らは歯をくいしばって、無言のうちに憤っていた。攻撃者の眼は徐々に室内を一巡して、一人をも見のがさなかった。クリストフは自分の番になってくるのを見て取った。彼はコップをつかんだ。ちょっとでも侮辱の言を発したらその頭にコップを投げつけてやるつもりで、テーブルの上に拳をすえて待ち受けた。彼はみずから言っていた。
「俺《おれ》は狂人だ。出かけた方がましだ。腹をえぐられるようなことになるだろう。そ
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