しのけて席を取った。それはちょっとの間のことだった。多くの人々はぶつぶつ言いながら身を避けた。腰掛の端にすわっていた一人の老人は、そう早く退《ど》くことができなかった。彼は兵士らから腰掛をもち上げられて、哄笑《こうしょう》のうちに引っくり返った。クリストフは憤然と立ち上がった。しかし将《まさ》に口を出そうとすると、老人はようよう起き上がって、不平を言うどころか、やたらに謝《あやま》ってばかりいた。二人の兵士がクリストフのテーブルへやって来た。彼は拳《こぶし》を握りしめて彼らが近づくのをながめた。しかし防御の要はなかった。二人の兵士は、格闘者のように大きな人のいい奴らで、一、二の無鉄砲者のあとから従頓についてきて、その真似《まね》をしようとしてるのだった。彼らはクリストアの昂然《こうぜん》たる様子に気おくれがした。クリストフは冷やかな調子で言ってやった。
「僕の席です。」
すると彼らは急いで詫《わ》びて、邪魔にならないように腰掛の端へ退いた。クリストフの声に首長らしい抑揚があったので、本来の服従心が強く働いたのだった。クリストフが百姓でないことを彼らはよく見て取っていた。
クリストフ
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