がテーブルから立ち上がりかけると、扉《とびら》が開いた。十人ばかりの兵士が、どやどやはいり込んできた。そのために室の中が白《しら》けわたった。人々はささやきだした。踊っていた男女の幾組かは、その踊りをやめて、新来者に不安な眼を注いだ。扉の近くに立っていた百姓は、わざと兵士らへ背中を向けて、自分たちだけで話をしだした。しかし様子にはそれと見せないで、用心深く身をよけて、兵士らを通らした。――先ごろから、町の周囲にある要塞《ようさい》の守備兵らと、土地の者らは暗闘を結んでいたのである。兵士らは退屈でたまらないので、百姓らに向かってその鬱憤《うっぷん》を晴らしていた。百姓らを無遠慮に嘲笑し、ひどくいじめつけ、その娘らにたいしては、征服地におけると同様の振舞いをしていた。前週なんかは、酒に酔った兵士らが、隣村の祭礼を騒がして、一人の小作人を半殺しにした。クリストフはそれらのことを知っていたので、百姓らと同じ心持になっていた。そしてふたたび席につきながら、どういうことが起こるかを待った。
 兵士らは厭《いや》な様子で迎えられたのを気にもかけずに、ふさがってるテーブルへ騒々しくやって行き、人々を押
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