|褪《あ》せた朝顔の実にさしてる光線のように、息子の微笑みはその夢想に、一条の輝いた反映を投じていた。
かくして、彼は母を置きざりにしたのであった――一生の間。
十月の夕《ゆうべ》。青白い冷やかな太陽。懶《ものう》げな田舎《いなか》はまどろんでいる。村々の小さな鐘が、野の沈黙のうちにゆるやかに鳴っている。耕作地のまん中から、数条の煙が徐ろに立ち上っている。こまやかな靄《もや》が遠くに漂っている。ぬれた地面を覆《おお》っている白い霧が、夜の来るを待って立ち上ろうとしている……。一匹の猟犬が、地面に鼻をすれすれにして、甜菜《てんさい》の畑の中を駆け回っていた。小鳥の群れが幾つも、薄暗い空に舞っていた。
クリストフは夢想にふけりながら、目当ても定めずに、しかも本能的に、一定の方向へ歩いていた。数週間以来、彼の散歩は、ある村の方へ向かいがちだった。そこへ行けばきっと、一人の美しい娘に出会うのだった。彼はその娘に心ひかれていた。それは単に好きだというにすぎなかったが、しかしごく強い多少不安な好き方だった。クリストフはだれかを愛せずにはほとんどいられなかった。彼の心はめったにむなしいことが
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