―聖書の上に平たくのせて、小さな植物と斜めに見える空の一角とを、しみじみとながめていた。金緑色の朝顔の葉から来る光の反射が、少し痣《あざ》のある疲れた顔を、ごく細かくてあまり濃くない白い髪を、微笑んで半ば開いてる口を、照らしていた。彼女はこの安息の時を楽しんでいた。それは彼女の一週間中で最もよい瞬間だった。苦しんでる者にとってはごく楽しい状態、何事も考えず、ただあるがままにうっとりとして、半睡の心だけが口をきいてくれる状態、それに彼女は浸っていた。
「お母さん、」と彼は言った、「少し出かけてみたいんです。ブイルの方を一回りしてきます。帰りは少し遅《おそ》くなるかもしれません。」
うとうととしていたルイザは、軽く身を震わした。それから彼の方へ向き返り、平和なやさしい眼で彼をながめた。
「行っておいで。」と彼女は言った。「ほんとうにね、よいお天気だから。」
彼女は微笑《ほほえ》んでみせた。彼もまた微笑み返した。二人はしばし顔を見合わしていた。それからたがいに頭と眼とで、ちょっとやさしい会釈をかわした。
彼は静かに扉《とびら》を閉《し》めた。彼女はまた徐《おもむ》ろに夢想にふけった。色
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