いえ! いやです……。」
彼はいかに彼女へ理屈を説いても無駄《むだ》だったので、夜になったら彼女の考え方も変わるかもしれないと思って、そのまま座を立った。しかし翌日食卓でまたいっしょになると、彼は少しの思いやりもなくまた計画のことを言い始めた。彼女は唇《くちびる》にあてた一口のパンをとり落して、悲しい非難の調子で言った。
「では私を苦しめたいんだね。」
彼は心を動かされたが、それでも言った。
「お母さん、必要なことなんです。」
「いいえ、いいえ、」と彼女はくり返し言った、「そんな必要があるものですか……。私に心配をかけるためにです……まるで狂気の沙汰《さた》です……。」
二人はたがいに説服しようとした。しかしたがいに相手の言葉を耳に入れなかった。彼は議論の無駄なことを悟った。議論はたがいにますます苦しめ合うのに役だつばかりだった。そして彼は頑《がん》として、出発の準備を始めた。
ルイザは、いかに願っても彼を引き止めることができないのを見て取ると、陰鬱《いんうつ》な悲嘆のうちに沈み込んだ。終日室の中に閉じこもって、晩になっても燈火もつけなかった。もう口もきかず食事もしなかった。夜
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