《おれ》をどう見てるだろうかしら。」と彼はみずから尋ねた。「俺は彼が見てるところとは非常に異なっている。俺は彼にとっては、彼が望むとおりの人間となっている。彼にとってすべてのものは、彼自身の面影どおりで、彼自身と同じく純潔で高尚である。もし彼がありのままの人生を見たら、彼はおそらく人生に堪え得ないだろう。」
また彼は今の娘のことを思った。彼女は闇《やみ》に包まれながらその闇を否定し、あるものをないと信じたがり、ないものをあると信じたがってるのであった。
その時彼は、ドイツの理想主義の偉大さを認めた。彼がそれをあんなにしばしば憎んだのは、それが凡庸《ぼんよう》な魂のうちにおいて、偽善偽君子的愚劣さの源泉となってるからであった。ところが今彼は、大洋中の一孤島のように、世界のまん中に異なった一世界を創《つく》り出してる、この信念の美を認めた。――しかし彼は、自分ではそういう信念を堪えることができなかった。彼はそういう「死人島」へ避難することを肯《がえ》んじなかった……。ただ生命! ただ真理! 彼は嘘《うそ》をつく英雄となりたくなかった。その楽天的虚偽は、おそらく弱者にとっては生きるために
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