十字架が立っていて、村が下の方に見おろされた。彼女は彼をある墓のそばに連れて行って、そして言った。
「これですよ。」
彼らはひざまずいた。クリストフは、かつてゴットフリートとともにひざまずいたも一つの墓のことを思い出した。そして考えた。
「やがて俺《おれ》の番になるだろう。」
しかしその時、この考えには少しの悲しみもなかった。平和の気が土地から立ち上っていた。クリストフは墳墓の上に乗り出して、ごく低くゴットフリートに叫んだ。
「私のうちにおはいりなさい!……」
モデスタは両手を組み合わして、無言のうちに唇《くちびる》を動かしながら祈っていた。それから、草や花を手探りにしながら、膝頭《ひざがしら》で墓を一回りした。彼女はそれらの草や花を愛撫《あいぶ》してるかのようだった。彼女の怜悧《れいり》な指先は一々見分けていた。枯れ蔦《つた》の幹や色|褪《あ》せた菫《すみれ》などを静かに引き抜いた。立ち上がる時に、彼女は板石の上に手をついた。クリストフが見ると、その指はゴットフリートという名前の一字一字を、そっとかすめるようになでていた。彼女は言った。
「今朝は地面がいい気持です。」
彼女は
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