彼女のこの愛情のうちには、おのが土地に執着《しゅうじゃく》してる百姓女のような峻烈《しゅんれつ》さがあった。自分と同じようによくゴットフリートを愛する者がいると考えることは、彼女にとっては不快であった。実際彼女はそういうことを信じたくなかった。クリストフはその心中を読み取って、彼女を満足のままにしておいてやった。彼女の話を聞きながら彼は気づいた、彼女は昔ゴットフリートを眼で見たことがあるにもかかわらず、盲目になってからは、実際とまったく異なった面影を作り出しているということは。彼女はその幻影の上に、自分のうちにある愛の要求をことごとくなげかけてるのであった。何物もかかる幻想の働きを妨げるものはなかった。自分の知らないことをも平気で作り出す盲人通有の、大胆な確信をもって、彼女はクリストフに言った。
「あなたはあの人に似ています。」
 彼が了解したところでは、彼女は数年来、雨戸を閉《し》め切って真実の光のさし込まない家の中に、暮らしつづけてきたのであった。そして、あたりに罩《こ》めてる闇《やみ》の中で見ることを覚え、闇をも忘れるまでになってる今では、闇にさし込む一条の光に会ったら、たぶんそ
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