りませんか。世間はほんとに醜くなっていきます。一日一日と悪くなっていきます。……といっても、神様からこんな言葉をしかられはすまいかという気もします。そしてほんとうのことを申せば、世間がどんなにきたなくっても、私はやはり世間を見つづけてゆく方が望みです……。」
モデスタがまた現われた。話は他へそらされた。クリストフは、もう天気がよくなったので出かけたがった。しかし人々は承知しなかった。彼はやむを得ず、夕食の馳走《ちそう》になって一夜を共にすることとなった。モデスタはクリストフの横にすわって、一晩じゅうそばを離れなかった。彼はこの若い娘の運命を憐《あわ》れんで、しみじみと話をしたかった。しかし彼女はその機会を与えなかった。彼女はただゴットフリートのことを尋ねるばかりだった。クリストフが彼女の知らないことを話してやると、彼女はうれしがるとともにまた多少|妬《ねた》んでいた。彼女の方ではゴットフリートのことを進んで語ろうとしなかった。明らかにすっかり言ってしまいはしなかった。あるいはすっかり言うと、言ったあとで後悔していた。思い出は彼女の財産であって、彼女はそれを他人へ分かちたくなかった。
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