り、やさしく言った――シュルツの眼を考えながら。
「そうです、まだきれいな眼をもっていますね。」
 シュルツの顔は輝いた。彼は自分の古いピアノをやたらにほめ始めた。しかしやがて黙った。クリストフがまたひきだしたからである。歌曲[#「歌曲」に傍点]が相次いでひかれた。クリストフは低い声で歌っていた。シュルツは眼をうるませながら、彼の動作を一々見守っていた。クンツは両手を腹の上に組み合わして、よく聞き取るために眼をつぶっていた。時々クリストフは、晴れやかな顔をして、二人の老人の方をふり返った。二人は恍惚《こうこつ》としていた。彼は無邪気な感激の様子で言っていたが、二人には笑う気も起こらなかった。
「ねえ、いいでしょう……。そしてこれは、どう思います……。それから、これは……これはいちばんりっぱです……。――さあ、ぞっとするようなものを、――ひいてあげよう……。」
 彼が夢幻的な一曲をひき終わった時、掛時計の杜鵑《ほととぎす》が鳴きだした。クリストフは飛び上がって怒鳴り声を立てた。クンツはびっくり我れに返って、驚いた大きな眼玉を動かした。シュルツにも、最初は訳がわからなかった。それから、クリ
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