人連中は、いっしょにクリストフの噂《うわさ》をしたことがしばしばあった。そして彼の音楽を見当たる限りことごとくやってみた。ポットペチミットは歌い、シュルツは伴奏し、クンツは聞いた。そして彼らはあとで何時間も興奮した。彼らは音楽をやる時に、幾度言ったことだろう。
「ああ、クラフトがいたら!」
 シュルツは、自分のもってる喜びと、これから友人らにもたらさんとする喜びとに、往来で一人笑っていた。夜になりかかっていた。クンツの住居は、町から半時間ばかりの小さな村にあった。空は清らかだった。至って穏やかな四月の夕だった。鶯《うぐいす》が歌っていた。シュルツ老人は心が幸福に浸っていた。胸苦しさも感じないで息をし、足には二十年代のような力を覚えた。暗闇《くらやみ》でつまずく石にも気を留めないで、軽快に歩いていった。馬車が来ると、元気に路傍へ身をよけて、御者とうれしげな挨拶《あいさつ》をかわした。道の土手に上っている老人の姿を、角燈の光が通りしなに照らし出す時、御者は驚いて彼をながめていった。
 村のとっつきの、小さな庭の中のクンツの家に着いた時は、もうすっかり夜になっていた。彼は戸を激しくたたいて、
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