いに解いてから、眼鏡をかけ、楽曲を読み始めた。彼の考えは他に向いていた。避けたい追憶の方へいつも考えがもどってゆくのであった。
彼の眼は古い聖歌の上に落ちた。クリストフが十七世紀の素朴《そぼく》敬虔《けいけん》な詩人の言葉を借りてきて、その調子を一新したものであって、パウル・ゲルハルトのキリスト教徒の旅人の歌[#「キリスト教徒の旅人の歌」に傍点]であった。
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希望せよ、憐《あわ》れなる魂、
希望をかけよ、勇ましかれ!
………………
待てよ、ただ待てよかし。
美わしき喜びの太陽《ひ》を、
やがて汝《なんじ》は見るならん。
[#ここで字下げ終わり]
シュルツ老人はそれらの誠実な言葉をよく知っていた。しかしそれらが彼に話しかけてくれるのは、かつてそんなふうにではなかった……。それはもはや、その単調さによって人の魂を静め眠らしてくれる平静な信仰心ではなかった。それは彼の魂と同じような魂であり、彼自身の魂であり、しかも、さらに若くさらに強く、苦しみながら希望をかけ、喜びを見んと欲しつつ喜びを見てる魂であった。彼の手はうち震えた。大粒の涙が頬《ほお》に流れた。彼は読み
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