り彼に強《し》いていた。ほとんど同年輩の二、三の友が、時々訪ねてきてくれた。しかし彼らもまたごく健康ではなかった。天気が悪い時には、彼らもやはり家に閉じこもって、訪問をのばした。ちょうど冬のことで、街路は解けかかった雪に覆《おお》われていた。シュルツは終日だれにも会わなかった。室の中は薄暗かった。黄色い霧が、衝立《ついたて》のように窓ガラスを張りつめて、視線を妨げていた。暖炉の熱が重々しく懶《ものう》かった。近くの教会堂では、十七世紀の古い鐘が、不揃《ふぞろ》いな恐ろしく調子はずれな声で、十五分ごとに、単調な賛美歌の断片を歌っていた。こちらであまり愉快でないおりには、その陽気な調子もなんだか渋面しているように思われるのだった。シュルツ老人は咳《せき》をしながら、一積みの枕《まくら》蒲団《ふとん》に背中でよりかかっていた。彼は好きなモンテーニュを読み返そうとした。しかしその日はいつもほど面白く感じなかった。で書物を置き、苦しげに息をついて、夢想にふけった。音楽書の小包が寝床の上にあった。それを開くだけの勇気もなかった。悲しい心持だった。ついに彼は溜息《ためいき》をして、包みのひもをていね
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