そういう人のそばに、クリストフは慰安を求めに行ったのだった。雨の降る寒い朝、彼はいかばかりの希望をもって、その都会に到着したことだろう。彼の目には芸術における独立的精神の象徴たる人が、そこに住んでいたのだ。彼はその人から、友愛と勇気とに満ちた言葉を期待していた。彼がそういう言葉を必要としていたのは、不利なしかも必然な戦いをつづけてゆかんがためにであった。真の芸術家は、最後の一息まで、一日といえども武装を解かずに世間と戦いを交えなければならない。なぜなら、シルレルが言ったように、「公衆を相手にしての決して後悔なき唯一の関係[#「公衆を相手にしての決して後悔なき唯一の関係」に傍点]――それは戦いである[#「それは戦いである」に傍点]。」
 クリストフは非常に気が急《せ》いていて、停車場のとある旅館へ手荷物を預けるか預けないうちに、すぐ劇場へかけつけて、ハスレルの住所を尋ねた。ハスレルは市の中央からかなり遠い郊外に住んでいた。クリストフはパンをがつがつかじりながら、電車に乗った。目的地に近づくに従って、胸が動悸《どうき》してきた。
 ハスレルが住居を選んだ一郭の地は、逸品を得ようとする困難な
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