あった。それでもペーテル・シェルツの心酔は揺がなかった。彼は情愛のあふれた手紙をなお二、三通よこした。クリストフは手紙が上手《じょうず》でなかった。その未知の友の文中に感ぜられる誠実の調子によって、多少心が和らぎはしたけれど、音信をやめてしまった。シュルツも沈黙してしまった。クリストフはもうそのことを考えなかった。
今では、彼は毎日ラインハルト夫妻に会い、また日に数回会うこともしばしばだった。たいてい晩はいっしょに過ごした。一人で考え込みながら一日を過ごすと、彼は口をききたい肉体的欲求を感じた。たとい理解されなくとも頭にあることを言い、理由のあるなしにかかわらず笑い、心のうちを吐露し、屈託を晴らしたかった。
彼は二人に音楽をきかしてやった。他に感謝の意を表する方法がなかったので、ピアノについて幾時間もひいてやった。ラインハルト夫人はまったく音楽を解せず、欠伸《あくび》をすまいと非常に骨折った。しかし彼女はクリストフに同情をもっていて、彼がひくものに興味を覚えてるらしいふうを装《よそお》った。良人《おっと》の方も、彼女以上に音楽を理解するとは言えなかったが、ある曲節には非精神的な感
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