ま》から、光の漏れるのが見えた。彼女は壁をたたいて、病気ではないかと彼に尋ねた。椅子《いす》が床の上にきしった。扉が開《あ》いた。そしてクリストフがシャツだけで、一本の蝋燭《ろうそく》と一冊の書物とを手にし、厳粛で滑稽《こっけい》な妙な様子をして現われた。ルイザははっとして、気が狂ったのだと思いながら寝床の上に身を起こした。彼は笑いだして、蝋燭を振りながらモリエールの一節を朗読した。ある文句のまん中で放笑《ふきだ》した。息をつくために母の寝台の足下にすわった。光は彼の手の中で震えていた。ルイザはほっとしてやさしくしかった。
「どうしたの、どうしたのさ! 行ってお寝《やす》みよ。……まあ、ほんとうに馬鹿になったんだね。」
しかし彼はますます機嫌《きげん》よく言い出した。
「これを聞くんですよ。」
そして彼は枕頭《ちんとう》に腰をすえて、その脚本を初めから読み直してきかせた。彼はコリーヌを見るような気がした。彼女の大袈裟《おおげさ》な音調を聞くような気がした。ルイザは言い逆らった。
「あっちへおいでよ、おいでったら! 風邪《かぜ》をひくじゃないか。厭《いや》だね、眠らしておくれよ。」
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