彼は頑《がん》として読みつづけた。声を張り上げ、両腕を動かし、また息を切って笑った。すてきではないかと母に尋ねた。ルイザは彼に背中を向け、夜具の中にもぐり込み、耳をふさいで言っていた。
「私に構わないでおくれよ……。」
しかし彼女は、彼の笑いを聞いて低く笑っていた。ついに彼女は逆らうのをやめた。クリストフは一幕を読み終えて、面白いでしょうと尋ねたが返辞がなかったので、彼女の上にかがみ込んでのぞいてみると、彼女はもう眠っていた。それで彼は微笑をもらし、彼女の髪にそっと唇《くちびる》をつけて、音をたてずに自分の室へもどった。
彼はラインハルトの蔵書を引き出しに出かけた。あらゆる書物が順序もなく相次いで借り出された。クリストフはすべてを鵜呑《うの》みにした。彼はコリーヌとあの若い婦人との国を非常に愛したがっており、使いはたすべき多くの感激をもっていて、それを利用した。第二流の作品のうちにおいてさえ、あるページある言葉は一陣の自由な空気のように思われた。彼はそれをみずから誇張して考え、ことにラインハルト夫人に話す時はそうであった。すると夫人はいつもさらに夢中になった。彼女は何にもよくわ
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