ダール、バルザック、フローベル、などは出ていなかった。その代わり、前の書物に出ていないパスカルが、珍しい人としてこの書物に出ていた。そしてクリストフは、この狂信家が「パリー付近の女学校ポール・ロアイヤルの神父の一人だった」ことをついでに知った……。(注――ジャン・クリストフが友人ラインハルト家の蔵書から借り出したフランス文学名家抄は、次のようなものだった。一、ストラスブールグの聖ヨハネ学習院長哲学博士フーベルト・ウィンゲラート著、中学校用フランス文粋[#「中学校用フランス文粋」に傍点]、中級第二部、一九〇二年七版、デュモン・ショーベルク出版。二、ハンブールグのヨハネ派学習院中学校長テンデリング改訂、ヘルリッヒおよびブルグイ共著、フランス文学[#「フランス文学」に傍点]、一九〇四年ブルンスウィック版。)
クリストフは何もかも投げ捨てようとした。頭がくらくらしていた。もう何にもわからなかった。「いつまでも堂々めぐりだ、」と彼は思った。なんらの意見をもまとめ上げることができなかった。先途がわからずに幾時間もめちゃくちゃにページをくっていた。彼にはフランス語が自由に読めなかった。非常に骨折っ
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