ることを許さなかった。ラインハルト夫妻は、小都市において前任者にたいする新来者の義務を規定する田舎の慣例を、十分念頭においていなかった。厳密に言えば、ラインハルト氏の方はまあ機械的に服従した。しかし夫人の方は、そういう役目を厭《いと》い窮屈を厭《いや》がって、それを一日一日と延ばした。訪問すべき人名表のうちから最も気楽そうなのを選んで、それを最初に済ました。他の訪問は際限なく延ばしておいた。この後者の部類に入れられた知名の人々は、かかる無礼を憤った。アンゲリカ・ラインハルト――(良人《おっと》から親しげにリーリと呼ばれていた)――は、やや自由な態度の女だった。儀式ばった調子を取ることができなかった。上の地位の人々をも馴《な》れ馴れしく呼びかけた。すると彼らは怒って真赤《まっか》になった。彼女は場合によっては、彼らの言葉に逆らうことをも恐れなかった。彼女はきわめて口数が多くて、頭に浮かんだことはなんでも言いたがった。時とするとあまりにばかばかしいことを言って、背後から人に笑われることもあった。また肺腑《はいふ》を刺す露骨な皮肉を言って、深い恨みを買うこともあった。そういう意地悪い言葉を言
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